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二次イオン質量分析装置(SIMS):詳細(研究者向け)

図1に「ATOMIKA SIMS4000」の装置概要図を示す。本装置は試料交換用予備室、分析室の2真空室からなる。試料スパッタリングのための1次イオン銃は、酸素イオン用とセシウムイオン用の2台が設置されている。加速エネルギーは5keVから10keVである。試料は7mm × 7mm、厚さ1mmの硬質基板状のものを、同時に6枚ステージにセットできる。試料は上記よりも小さくても分析は可能であるが、試料保持が難しい場合がある。分析は1×10-10Torr台で行う。蒸気圧の高い試料は分析出来ない。また、1次イオン照射によるチャージアップ中和の為の電子線照射機構を備えており、絶縁体の分析も可能である。質量分析には四十極質量分析計を用いている。質量分解能は0.1amu程度である。


図1:装置概略図

SIMS測定では原子核同士は核阻止能によって決まるエネルギー範囲で衝突する。この領域では入射イオンはエネルギーを失う際に、多くの周囲の原子核と散乱を生じる。更に、その散乱を生じる深さは、試料表面から大きな広がりを持つ。試料深部から表面に向かって運動方向を変化させる場合においても、表面に向かう際のエネルギーは確率的な分布を持ち、一定のエネルギーを取り得無い。従って、このようなイオンによって表面からスパッタリングされた原子のエネルギーは一定とはならない。また、スパッタリングされた原子が表面でイオン化する確率は、単純に物質のイオン化率のみでは決まらない。マクロに見ればスパッタされる物質の導電率等様々なパラメータが存在するし、ミクロに見れば、原子同士のマトリクスにより決まる結合状態等、スパッタリング時のイオン化率は、多種多様なパラメータにより支配される。このようなことからSIMS測定は極めて類似の比較試料をもってしなければ、濃度定量や元素濃度の深さ分布を正確に同定することは不可能である。従って、濃度定量を希望する場合には、必ず、濃度標準試料を準備して頂くことになる。更に、分析時間とスパッタリングしたクレーターの深さとの関係が比例関係にあるか、本来、一定で観測されるべき物質構成原子の濃度が一定に観測されているか等、十分に注意しながら分析を行わなければならない。


図2:質量分析

図2で示すように、容易に材料の広範囲の質量数に対する分析が可能である点はSIMS測定の優れた特徴である。このような広範囲に亘る質量数における分析では、質量分解能、即ち、2次イオンのエネルギー分解能を下げ、エネルギースリットでの2次イオン透過率を上げる。そうすることにより、どのような質量数を持った粒子がスパッタリングにより発生しているかを観測することが出来る。イオン化率が低い元素の観測においては、分析開始時からエネルギー分解能を上げることはしない。大略、2次イオン検出器が飽和しない範囲で2次イオン透過率を上げて、構成元素の質量分析を行う。これにより、特に未知の不純物原子の混入が見いだされる場合がある。材料合成装置を組み上げる過程において、得られた材料の質量分析を行い、汚染状況などを調べることは重要である。このような場合においては、SIMS測定の高感度性は極めて重要な意味を持つ。広範囲な質量分析を行った後、各元素に対してエネルギー分解能を最適化し、分析を行う。